地価高騰によるGDPとの剥離幅が大きかった分だけ、「もう少々の地価下落を経てからの収束」という過程になるでしょうが、地価はほぼ底値圏に近づいているといえましょう。
ただし、住宅地に関して注意すべきことは、「すべての地域で地価が底値圏に入り、取引が活性化する」とは限らないことです。
バブルと人口の大都市集中によって、住宅地が鉄道網に沿って異常な距離までアメーバ状に伸び、東京では「通勤時間が1時間半」は当たり前という状況になっています。
「広く利便性のいい住宅を求める」流れの中で、都市近郊の住宅地では明るさを見せつつある住宅市場も遠隔地の住宅地では少々異なった動きを見せる可能性があり、「地価と取引の回復」といっても、「斑模様」の回復であるといえます。
バブル崩壊により都心における地価が大幅に下落したことや、政策的に都心居住の推進が図られたことなどから、ここ数年、東京都区部の未利用地や工場移転の跡地の有効利用などによる分譲マンションの建設が増加しています。
その結果、都心回帰が東京都区部でも顕著であり、今後ともこの傾向は続きそうです。
そのため、通勤時間が2時間近くを要する千葉・埼玉・茨城各県の郊外部からの都心への住み替えが増加する一方、建売住宅の需要は急激に冷えて、地価も下落していますが、さらにその傾向が強くなることが予想されます。
不動産業界のうち、マンションの建設をはじめ、宅地開発やビル建設を手がけている大手企業(デベロッパー)は、用地取得に要する多額の資金を銀行等から借り入れていますが、バブル崩壊後、用地の価格が大幅に低下したのみならず、用地の開発・売却が需要の冷え込みにより遅々として進まないため、借入金の負担が重圧になっています。
そのため、売れ残りマンションや賃貸ビルを他の企業に売却し、保有不動産の証券化・小口化による資金調達によって、借入金の圧縮に努めている企業もあります。
一方、金融機関の経営不安に伴う慎重な貸し出し姿勢の影響が不動産業界にも及んでいます。
そのため、新規の事業用地の取得にブレーキがかかっている企業もあり、借入金に依存しない不動産事業への取り組みが今後の決め手になりそうです。
また、中小企業の場合は、事業用地はもとより中古住宅の仲介が急激に減少し、かつ価格も低下しているため、仲介手数料の収入が大幅に減少しています。
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